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大井 敏恭 Toshiyasu Ohi
SAG ディレクター

アートは文化圏と時代が実らせる香り豊かな果実だ。長い旅の途中で道に迷い心に空腹を覚えたら、出来不出来はあるけれど、かじってみたら良い。酸っぱいのも甘いのも苦いのもあるだろう。迷いも晴れて進むべき道が見つかるかもしれない。

合理的に整理解釈された美術の歴史を振り返るのとは違って、僕らの生きている時代と一緒にリアルタイムで展開する現代の美術表現には不合理で矛盾した魅力 や謎がある。その上に現在進行形だから捉えにくいし、様式も表現も多種多様だ。自分の足元で一体何が起こっているのか知る事はできるのだろうか。

SAG/札幌アーティストギャラリーは、この不合理な魅力や謎、時代の先触れとしての新しい価値観を取り扱ってそれをビジネスにする組織だ。ビジネスの展 開にもスタッフの仕事にも想像力と創造力がいる。スタッフは年齢、経験、専門もさまざまだが、それぞれのノウハウを互いに提供し活用しながら自分の居場所 を作り、自分に合った歩みで前進している。SAGも組織としてスタッフの自己実現を支援し、時代と状況を把握しながら、時間をかけて柔軟に進化して行きた い。

作家は時代に受け入れられた美学を乗り越えるのが仕事だが、表現の質にも責任を負っている。思いつき、思い込みの表面だけでは舞台装置の裏側には何も無い 事はすぐばれてしまう。行き止まりだ。深い思考や洞察力も欲しい。こうした力を備えた優れた仕事に出会ってみたい。一方、それを見る方は自分の価値観、美 意識の手の内にはない新しい表現の前で理解に戸惑い困惑する。こうしていつの時代も、新しい美術表現はすぐには同時代の人々に受け入れてもらえない。
しかしながら、見る立場にあっても、いつまでも受け身ではいられない。好き嫌いのみのし好的判断だけでは行き止まりだ。自分がその一員である時代と文化圏 が生み出したアートの善し悪しを評価判断できるよう、自ら学ぶ必要がある。これは鑑賞者が行う文化貢献だ。アートに難解な側面があるとしても、それは単な るエンターテイメントではないからだ 。

SAGは、互いの理解を深めるためにも、優れた表現と人々の、質の高い出会いの機会を作って行きたい。



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